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ご自宅で飲める、日本全国の名酒8選!その2

グルメ

呼友


新潟県長岡市 朝日酒造


◉酒蔵を岐阜県中津川市から北海道東川町に移転。その、舞台裏とは?

久保田で知られる「朝日酒造」さんの「呼友(こゆう)」という商品は、道内で取り扱っているのが福士商店だけでした。(現在池田酒店でも取扱う予定。)

この商品については、30年以上前に立ち上げた久保田塾という取り組みが関わっています。この久保田塾は、地酒の限定流通のシステムを作るために朝日酒造が始めたもので、全国の酒屋が集まりました。

福士商店の社長は北海道で唯一の久保田塾の卒業生として呼友の取り扱いをスタートさせました。

全国で91か所しか呼友の取り扱いが許可されなかった特約店は、現在では30か所未満になったそうです。

福士商店では道内唯一の取り扱い店舗として、この商品を提供しておりました。また、この商品の特徴やこだわりは減肥栽培によって作られた五百万石(ごひゃくまんごく)と呼ばれるお米を使用しています。

通常このお米は、一般的には50%まで磨くのが限界されているのですが、呼友で使用される減肥栽培の五百万石はなんと45%まで磨くことができ、醸した純米大吟醸なんです。新潟淡麗の久保田らしいキレのある味わいが楽しめ、食中酒としてもおすすめです。

酒一筋


岡山県赤磐市 利守酒造


◉今回試飲した中で断トツコスパNo1、編集長お勧めのお酒です。

新潟県村上市で醸す宮尾酒造さんの〆張鶴(しめはりつる)「純」についてお話ししましょう。村上市はもともと城下町で、鮭が遡上してくることで有名です。はらこ飯や酒の文化、素敵な城下町として知られています。

〆張鶴純は、日本酒雑誌で20年連続でプロの飲食店の大将や居酒屋、寿司屋の大将が選ぶ純米吟醸部門で1位に選ばれたお酒です。新潟のイメージは淡麗辛口のすっきりしたお酒ですが、実際には地域によって異なる特徴があります。村上市の〆張鶴は淡麗でうま口な特徴を持ち、酒質は非常にまろやかで落ち着いています。

一般的に、お酒は絞ってから約半年で出荷するのですが、こちらの蔵に関しては、一番下のクラスお酒でも1年間はタンクで調整するそうで、まろやかで落ち着きのある酒質になるんです。

お料理との相性についてもお話ししましょう。特にお寿司や繊細な和食には抜群に合います。少し物足りないと感じる人もいるかもしれませんが、お料理と一緒に楽しむことでその実力を発揮するタイプのお酒です。

岡山県赤磐市に位置する利守酒造さんのブランド「酒一筋」は、酒米のルーツである赤磐雄町米を使用したお酒です。

この雄町米は実は江戸時代に一度消滅してしまいましたが、こちらの利守酒造さん復活させたという、雄町米のパイオニアの蔵です。

酒一筋の「番外」という銘柄は、ラベルを見ていただくと文字が逆さまになっており、特別な意味が込められております。雄町米は背が高く、育てるのが非常に難しいとされています。

育てる中で「等外米」、つまり、外観に欠陥がある等の理由で選別基準をクリアできず、3等米以下とされるお米が出てくるのですが、それらを集めて醸造される、年に一度の限定商品が番外なのです。

「番外」は生産量わずかタンク2本分で、蔵からの案内が来たらすぐに発注しないと次の日はもうなくなってしまうんです。雄町米は旨味のあるワイルドな味わいが特徴で、肉料理や味の濃い料理と抜群に合うお酒です。

雄町米のファンは「オマチスト」とも呼ばれ、さらには「雄町サミット」というイベントまである程ファンが多く、私も雄町のお酒の独特な味わいや料理との相性を学び、現在ではどっぷりとはまり、すごく好きなお酒の一つとなりました。主に西日本で作られる酒米で、特に岡山県は雄町米の栽培が盛んであり、その中でも利守酒造が先駆的な存在として知られています。

V1116


青森県八戸市 八戸酒造


◉八戸酒造さんが提供する白ワインの様なお洒落な銘酒。

青森県八戸市に拠点を置く八戸酒造さんの「陸奥八仙」です。1775年に創業され、250年近い歴史ある蔵です。

もともとは近江商人が東北に渡ってきたルーツを持っています。以前から存在していた陸奥男山というブランドは、昔から漁師町で親しまれてきた辛口の日本酒として知られていました。

八仙については、酒米を青森県産で行われており、酵母もすべて青森のものを使用しています。また、蔵のスタッフも全員が青森出身で、平均年齢は30歳前後です。八仙の酒質としてはフレッシュでフルーティーな酒を醸すのを特徴としています。約20年前から特約店限定流通商品として「陸奥八仙シリーズ」が立ち上げられました。

今回ご紹介するのは「V1116」というお酒で、デンマークの白ワインによく使われているワイン酵母で醸しています。少しブドウのニュアンスを感じさせる味わいに仕上がっているので、飲んだ方は「日本酒だと思えない」と、驚かれることもあります。

甘酸っぱさの中にグレープフルーツのようなちょっとした苦みも感じられ、和食はもちろん、カルパッチョや白身魚、柑橘を効かせたサラダといった料理にもぴったりです。独自のスタイルを持つニューウェーブ系のお酒と言えるでしょう。

喜久泉


青森県青森市油川 西田酒造店


◉冠婚葬祭にも用いられ、創業時から地元で愛されたブランド。

田酒シリーズで知られる西田酒造店の「喜久泉」です。青森県の油川で作られており、喜久泉は、創業時から地元で愛されたブランドです。

「喜久泉」という名前は「喜びが泉のようにずっと溢れますように」という意味合いを持ち、元々油川地域で冠婚葬祭にも用いられてきたお酒です。今日お見せするのは大吟醸で、山田錦という種類の酒米を100%使用した贅沢なお酒で、鑑評会に出品できるレベルの大吟醸酒に仕上がっています。

田酒シリーズと喜久泉の違いですが、田酒は純米酒で、喜久泉は醸造用アルコールを添加したお酒となります。全国の鑑評会に出品する際には、西田酒造店は田酒ではなく喜久泉を出品し、その中で金賞を受賞したこともあるほどです。

田酒に比べ、喜久泉ブランドは実は一般的にはあまり知られていません。私は個人的に喜久泉に魅了されており、少しずつ苫小牧地域でも認知度が上がってきたのかなと感じています。

この下のクラスの吟醸酒は、スペックのわりにお手頃価格で、普段使いにもなるお酒です。ちなみに、今日お見せするのは山田錦の大吟醸ですが、通常の吟醸酒には青森の「華吹雪」というお米が用いられており、これは山田錦に対抗するために青森で育成された酒米になります。


・インタビュー

池田芳彦

Ikeda Yoshihiko

苫小牧錦町にある福士商店に地酒担当とし
て8年勤務。この度、福士商店の酒屋事業の
廃業により、その事業を引き継いで年内に池田
酒店として開業を予定しております。