日本橋
苫小牧市桜木町
生け簀で泳ぐやめべ料理と多くの芸能人も通う寿司の名店
◉幼少期から独立まで、親孝行と現在の場所での独立の理由とは
私は穂別町で生まれましたが、2歳の時に平取町に引っ越しました。そこで保育所、小学校、中学校を経て、高校は駒沢大学附属苫小牧高校に進学しました。その後、室蘭の調理師学校では住み込みで和食の調理の修業を積みました。
家族は平取町にある寿司屋を営んでいました。当初の予定では和食の修行を5年、その後寿司屋を5年続けようと考えていましたが、父親から「人手が足りないから帰ってきてくれ」と言われ、19歳の時に実家に戻り、実家の寿司店を手伝うことになりました。
私は地元で実家の寿司屋を2000万円で買い取りました。私は3人兄弟で、兄は大学に進学し、実は私も大学に進学する予定でしたが、「お前は商売向きだから寿司屋になれ、将来の跡継ぎだ」と父から言われ、その言葉を受けて、一生懸命頑張りました。平取に戻り、父から2000万円だけを借りて、その5年間で借金を完済し、その2年後に現在の店をオープンしました。35歳の時に店を購入し、7年後となる、42歳の時にこの場所に移転しました。
また、現在のロケーションについてですが、街中での経営は避けたかったんです。営業時間が遅くなりがちですからね。お店をお昼から開けて、通常の時間に閉めるスタイルが良いと思いました。地域に密着した営業が理想だったんです。街中だと難しいことが多いですからね。
◉幼少期のやめべ釣りがやまべ料理の原点、そして生け簀の理由
うちのお店はお寿司を豊富に取り揃えており、ヤマベのお寿司など多種多様な寿司メニューがございます。うちはどちらかというとセットメニューが多いです。レディースコース、今日のおすすめコース、月替わりの限定コースなどがあります。
うちは家族連れが多いお客様がいらっしゃることが多く、地方からのお客様も結構来店されます。本州や札幌などからもお越しいただいております。
また、お寿司とやまべ料理を専門とすることに至った背景には単純に地元にやまべがいたからなんです。平取には、日本一美しいと評される清流、沙流川が流れています。その川沿いに店があり、私は子供の頃からよく訪れていました。その場所には釣り堀もあって、やまべはずっと身近でした。
何より、食べると本当に美味しいものでした。ずっとこれを寿司に活かせないかと考えていたんです。美味しさの秘訣はやまべを生きたまま加工するのと、それが死んでから仕入れるものとは全く違う味わいになることでした。そのため、平取のやまべを生きたまま仕入れ、生簀に入れています。すべては、お客様に最高のやまべを味わっていただくためなんです。
◉美味しさの秘訣やまべの生け簀
また、秋は松茸も人気で、時期になるとかなり松茸を多く仕入れています。
平取は松茸が取れる地域として有名で、本松茸と呼ばれる品種があり、価格もやや高めです。毎年取り寄せるほど、美味しい松茸を提供しています。地元の「平取穂別産」が有名な松茸のブランドです。
当店ではほとんどは「土瓶蒸し」や「茶碗蒸し」にして提供しております。
ただし、今年はあまり松茸が取れていない状況なんですよ。つい最近、仕入れ先に電話したところ、暑さの影響で今年は松茸が不足気味だそうです。
通常、早い時期だと1週間ほどで入手可能になりますが、今年については具体的な時期がわかりません。夏に仕入れ先に行った際、松茸の収穫が難しい状況である可能性が高いと言われましたので、今年は入手が難しいかもしれません。
◉秋は人気の松茸。「平取穂別産」
◉住宅街ならではのリーズナブルなセットメニュー
セットメニューですが9月限定メニューだと、お通し、茶碗蒸し、やまべの唐揚げ、陶板焼き、揚げ出し豆腐、ローストビーフ、お寿司が5巻、お吸い物、デザート、の合計9品で4,800円で9月から少し値段が上がりましたが、それでもお得なセットメニューです(笑)。
うちでは何を食べても美味しい料理を提供していますが、毎月のメニューはちょくちょく変わります。ただ、唐揚げ、茶碗蒸し、そしてお寿司は常に提供しているメニューです。
やまべの唐揚げは特に人気が高く、本州からのお客様には「やまべの唐揚げを食べたい」というリクエストが多いです。また、ホッキの笹寿司、ホッキの土瓶蒸し、ホッキのかい揚げ、ホッキグラタン、ホッキバッテラなどもおすすめのメニューです。ホッキバッテラは当店独自のオリジナル料理ですし、ホッキの笹寿司は本州のお客様が東京に持ち帰ることもあるほどの人気です。
▲リーズナブルなセットメニュー
◉観光協会も注目のホッキの笹寿司、ホッキのバッテラとは
ホッキのバッテラですが、普通は鯖を使うわけですが、たまたま漁業組合さんから「ホッキ貝を使ってバッテラを作れませんかね」と言われて試してみたのがメニュー作成のきっかけです。
これには、ホッキの魚醤を使っており、どうしたら美味しくなるかなと思った時に、瞬間的に閃いたのがホッキの身と酢飯の間に、ホッキの紐を入れることだったんです。これがばっちりと決まって美味しくて。これは寿司醤油とホッキの魚醤を合わせて味付けしているので、そのままでも美味しくお召し上がりいただけます。
また、ホッキの笹寿司ですが抗菌作用もあり、笹の匂いもついて美味しくなります。
この前も、わざわざ本州から女性の方が一人でお店に来てくださって「ホッキの笹寿司とやまべを食べに来ました」と言ってくれました。
また、北海道のツアーで苫小牧に団体の方が来られた際も、うちのお店にわざわざ食べに来てくれることもあります。30人ほどで来られるんです。苫小牧自体の観光はそこまで楽しいとは言えないと思うのですが(笑)、よく毎回30人も集まるなあと思っています。
中には「私3回目です!」なんていう方もいらっしゃって。あとは、「ツアーで食べた料理が美味しかったんですけど、また食べさせてもらえますか」なんて電話が札幌から来たりしたこともありました。
▲ホッキの笹寿司
▲ホッキのバッテラ
◉父から引き継ぐ秘伝のシャリとこだわり自家製醤油について
うちの父はもともとシャリに強いこだわりを持っていました。彼は「シャリが美味しくなければ、寿司は美味しくない」と常に言っていました。その影響を受けて、私もシャリに対するこだわりが強いです。
うちのお店のシャリは他の寿司店とは少し異なり、多くのファンから支持を受けています。地方のお客様からも、東京のお客様からも「シャリが違う」と言われています。
まず、酢の使い方が違っており、お米の選定にも特に注意しています。現在使用しているお米は、新潟の佐渡産のコシヒカリとななつ星をブレンドしています。最近のお米は粘り気が強い傾向がありますが、お寿司は粘りすぎるとだめなんです。
そのため、お米のブレンドによる調整を行っています。寿司の美味しさはシャリが全てなんですよ。正直なところ、ネタの種類はどうでもいいくらいです。どんなに美味しいネタでも、シャリが美味しくなければ寿司全体が美味しくなりません。シャリが寿司の全体の6-7割を占めていると言っても過言ではありません。
また、醬油に関しても特にこだわりがあり、鰹と昆布を使用して出汁を取り、それを半分に割って薄めに作っています。この方が美味しくなり、濃い醤油よりもお寿司の味を引き立てることができます。
しょっぱい醤油だと、せっかくのお寿司が台無しになってしまいますからね。当店独自の特製のお醤油です。また、寿司醤油とは別で、刺身用の醤油も当店では自家製で作っています。これが非常に美味しいんです。
刺身用の醤油には土佐醤油を使用しており、さらにたまり醤油もちょっと入れています。これもまた当店独自の製法で作っており、お客様から美味しいと好評をいただいています。
当店は一風変わった寿司店です。アットホームで明るい雰囲気を大切にし、誰でも気軽に立ち寄れるお店です。敷居が高いと思われることもあるかもしれませんが、実際にはリラックスして楽しんでいただける場所です。
おふたりで、カップルで、家族で、どんな方でも歓迎いたします。お気軽にお越しください。
・インタビュー
齊藤芳行
穂別町生まれ、平取育ち、駒大苫小牧高校を卒業して室蘭の調理師学校へ。
19歳から寿司の世界へ足を踏み入れ、42歳の時に現在の場所で開業。現在も朝からストレッチや毎日お風呂での全身マッサージを欠かさず寿司に毎日全力投球。
・店舗情報
日本橋(にほんばし)
〒 苫小牧市桜木町4丁目15番7号
TEL 0120-766-776(御予約は電話のみ)