メールアドレス: tomakomai_life@email.com

鮨、徹底解剖。その4

グルメ

千両寿司


苫小牧市ときわ町


西でお寿司屋といえば千両寿司さん、リーズナブルな使い方からお祝い事、出前まで

◉すすきので産まれて、千両寿司の歴史について

私は、両親と叔父、叔母が千両寿司という寿司屋を営むところで生まれ、それがお寿司との縁の始まりです。

千両寿司は、すすきのの中央5丁目に位置し、昭和34年か35年ごろから営業をしています。私は札幌で小学校と中学校に通い、中学卒業後に苫小牧に移動しました。

私が小学校高学年のときに父が病気で倒れたため、父の寿司を握る姿をあまり見ることができませんでした。寿司屋の経営は叔父と叔母が引き継ぎ、そのとき私はお寿司との縁が離れていました。

苫小牧では、工業高校の建築科に進学しました。しかし、父の病状もあり、将来的に家族を支えるためにサラリーマンでいることは難しいと考え、父と同じ寿司職人として家計を助けることを決めました。

高校生の頃、近所の寿司屋さんでアルバイトを始め、お店の方には「僕は寿司屋になる。そういうつもりで使ってほしい。学校は休めたら休みますので」等と事情を説明し、見習いとして雇って頂きました。

高校を卒業後、日中は住宅街にある寿司屋、夜中はすすきのの寿司屋を掛け持ちで働きながら、寿司の修行を続けました。そして縁があり、21歳の時苫小牧で独立し、自分の寿司店を開業しました。お店はときわ町にあり、3年ほど営業しました。

当時は景気が良く、建築家の方から「すぐそばに良い土地があるからお店を建てないか?」とお話をいただく機会があり、新しいお店を建てることにしました。

私はお店を開業してから41年になります。なので現在このお店だけで38年の営業となります。


◉リピーターに愛される人気店の秘訣と店内の伝統ある雰囲気

岩渕:なるほど。ありがとうございます。苫小牧で38年もの間、千両寿司さんを長くやられていて、どういうお客さんが多かったりするのでしょうか?

佐渡さん:やっぱりここの地域の方がほとんどですね。会社経営をされている方、ご家族で来られる方、様々いらっしゃいます。
岩渕:座席は何席くらいありますか?

佐渡さん:カウンターは6席、テーブルボックスは4人掛けが2テーブルあり、奥の座敷が最大24人まで収容できます。
この辺ではなかなか座敷のお店はないんですが、うちのお店では用意しています。コロナ禍は稼働率が低くなっていましたが、また戻ってきて、宴会などで使用しています。

岩渕:奥に広がっているのですね。この店内には、俳優・浪曲家としてご活躍された広沢虎造さんに関わるものがあると伺ったのですが、そちらについても教えていただけますか?

佐渡さん:私の父や叔父が岩手の盛岡、宮城の仙台、そしてすすきので千両寿司を移しながら経営してきましたが、仙台でお店を開いたときに、偶然、広沢虎造さんが立ち寄りました。「いつ開店したんだ?」と聞かれたので父が「開店したばかりです」と伝えたところ、広沢さんが職人さんに注文して、この寿司のネタ番付が作成されました。もう一つ、広沢虎造さんのサイン、そして「飲みねぇ、食いねぇ、千両寿司をね」と書かれています。この2つのセットを頂きました。

岩渕:すごい出会いですね。こちらの力士の方の手形はどうされたのですか?

佐渡さん:これは故 千代の富士さんのものです。うちのお店に来られた訳ではありませんが、巡業で来られたときに頂いたサインです。

岩渕:なるほど。こちらのサインはどうされたのですか?

佐渡さん:これはEXILEのSHOKICHIさん、USAさん、青柳翔さんが「男旅」の番組で2回取材に来ていただいた時に頂きました。私の息子がSHOKICHIさんと面識があり、テレビ取材させてくれることになりました。

今でもたまに、「SHOKICHIくんが来たお店」ということで足を運んでくれるお客様もいます。つい最近でも、関西から来店してくれた女の子2人がいました。帰り際に「どうしてうちのお店に来てくれたのですか?」と伺うと、SHOKICHIさんのファンで男旅を全部見ていたそうです。「ここにSHOKICHIさんが座っていたんですよ」と教えると、「私も座っても良いですか?」と、楽しんでいました。

岩渕:なるほど。 ありがとうございます。最後に何か読者に向けて一言伝えたいことはありますか?

佐渡さん:昔から変わらず誠実に、基本は変えずに美味しいお寿司を提供していきたいです。その上で、時代に合った一品料理やセットメニューを提供しています。昔はお父さん方がカウンターを占めて、お寿司を食べたり、飲んだりすることが主流でしたが、今は女性の方もカウンターに来てお食事されることが増えました。

回転寿司屋さんが増えた影響でいわゆる「回らないお寿司屋さん」が減ってしまっているので、「カウンターで食べたい!」と願うお客様が楽しめるようなお店作りをしている最中です。

岩渕:素晴らしい取り組みですね。ありがとうございました。


食材へのこだわりとおすすめメニュー

◉晩酌セット

大人気「晩酌セット」。「千両セット」はお刺身とお寿司、小鉢物2皿、そしてお好きなお飲み物2杯で3500円!「万両セット」は千両セットに焼き物、または、煮魚が付いて、4000円で提供しております。(小鉢2品はその時々により内容が変わります。)

◉やっぱり上生寿司

握り寿司の「上生寿司」は「いか、本まぐろ、かに、ほたて、えび、かんぱち、サーモン、特大玉子、いくら、とびっこ」の10巻セットとなっています。10巻以上のセットの中で一番リーズナブルです。その中で目玉のネタは、毎日焼いてる特大玉子ですね。

◉自慢の天ぷら

うちの天ぷらは昔から人気で今回の取材でご用意したのは「エビ天ぷら」なんですが、天ぷら盛り合わせや、山菜、その旬の天ぷらも人気です。

◉マグロ

マグロには非常に気を遣っていて、本マグロの良いものを選別して使用しています。

◉卵焼き

看板商品のひとつでもある卵焼きは毎日心を込めて焼いております。

◉カニ味噌豆腐

カニ味噌豆腐はカニ味噌を練りこんだ特別なお豆腐で、常連さんにとても人気のあるメニューです。

◉海鮮サラダ

最近では男性のお客様に加えて女性のお客様もヘルシー志向のお客様が増えたので、他とは違うサラダをということで「海鮮サラダ」を提供し始め、これが結構評判が良く、人気上位のメニューのひとつです。


・インタビュー

佐渡哲司

札幌市すすきの生まれ、苫小牧育ち、高校生から寿司屋でアルバイトをこれまで寿司一筋の本格派寿司職人。

21歳で独立し、現在は独立から41年目。寿司だけではなく、飲食店から様々な経営者の相談、商店街含めた街作りにも参画。


・店舗情報

千両寿司(せんりょうすし)

〒 苫小牧市ときわ町5丁目12-10

TEL 0144-67-6269(御予約は電話のみ)